DIE WITH ZERO 著者ビル・バーキンズ
バケットリストのワークショップを始めようと思ったキッカケになったのが、この本です。当時、税務をお願いしていたKさんに教えてもらいました。「まだ読んでなかったら、絶対読んだほうがいいよ」そして、その日のうちにAmazonをポチっていました。
この本のコンセプト
①喜びを先送りにしてはいけない。限られた時間の中で幸福を最大化するためには、人生の早いうちに良質な経験をすることが大切である。
②どんなお金持ちも、あの世にお金は持っていけない。だからこそ死を意識し、「ゼロで死ぬ」を実践すべきである。
③人生をよりよいものにするには、お金、健康、時間という人生の3大要素のバランスを、いかに取るかが重要になる。
④物事には賞味期限がある。そのチャンスを逃さないためにも、大胆に行動すべきだ。リスクを取らないリスクを過小評価してはならない。
Kさんの場合
あぁ、なるほどなー。だからKさんは感動したのか。と腹落ちしました。仕事を愛するKさんは70歳を迎えてもバリバリ働いて「一生かかってもお金は使いきれないから、ご飯くらいご馳走するよ。お金を持ってあの世には行けないからね」と笑う方でした。それなら、お孫さんにもお金を渡せるように保険に入ったらどうですか?と尋ねると
「いやー、これでも僕は若いころ結構苦労したんだよ。想像つかないと思うけどね。だから、孫を甘やかしたくないんだよね。ハングリー精神がなくなるから。」
「それなら、気の合う人達と美味しいお酒を飲んだり、税務で困ってる人達を手弁当で相談にのった方が何倍も楽しいじゃないか。ともちゃんも相続セミナーやるなら、いつでも協力するからね」
そう答えられると税務のプロでもあるKさんに「確かに、そうですね。」というしかありません。
「そうそう、これから会社を1つ作るんだよ。今まで稼がせてもらったお返しを社会にしようと思ってね。協力してくれるか?」と。まさにKさんらしいお金の使い方だと思いました。会社が軌道にのる前に自分がいなくなるなんて思ってもいなかったはずですが。
会社のコンセプトと作ることになったキッカケ、その会社にかける想いをつらつらと話してくれるKさんは本当に嬉しそうでした。
そんなお金を残すことに固執していなかったKさんですが、結果はどうだったでしょうか。正直、私も周囲の方達も70代前半でKさんが亡くなるなんて夢にも思っていませんでした。まだまだお金の整理をしていた途中の段階だったかもしれません。
よかったこと
Kさんの楽しみは、奥様と一緒に両国で相撲を観ること。そして、美味しいお蕎麦とお酒。たまに奥さんと一緒に国内旅行に行っていました。はたからみている限りでは、楽しみを先延ばししている様子は見えませんでした。大好きなお酒は、家では奥様に管理されているからと、お昼から楽しんでいましたし(笑)お昼に時間ができて暇になると、電話がかかってきて「お昼一緒にどうだ?迎えに来てくれ」ということもしばしばでした。
そして毎日17時には仕事のきりをつけて、帰宅の途についていました。「女房の料理が1番美味しいから、毎日帰って食べる夕飯が楽しみなんだ」とよくのろけていました。
後悔していること
そんなKさんは仕事に関しては厳しい方でした。案件があると、仕事がはかどるからと土曜日や祝日にも出社していました。その関係で、奥様から長期の旅行に行きたいという希望を先延ばしにされていました。「もう少し落ち着いてからでいいかな、と思ってね。女房には悪いなと思ってるんだけど。」
そして、私も含めて反省したことが、新しく作った会社の保険でした。オーナー社長だから、ちゃんと死亡保障をつけてください。とお話したとき
「まだ売り上げも少ないし、それよりこの先会社を任せるMさんの保険を先に設計して欲しいんだ。僕のはその後でいいよ。」この言葉をそのまま受け止めてしまいました。
とはいえ、Mさんも私もKさんに保険に入って欲しいのは同じでした。コロナに感染されてから、体調にムラがでてきたような気がしていたのです。そろそろお話しましょうか、とMさんと話したあとのことです。
「体調が悪いから早退するわ。カレーうどん食べたいんだけど出れる?」と電話がありました。運悪く研修の真最中でお断りをするしかありませんでした。それが、元気なKさんの声を聞いた最後でした。
その数日後、お客様へ同行の約束があったのですがキャンセルになりました。「急に身体に力が入らなくなって歩けない。病院へ行ってきます」とメールが届いたのです。検査の結果、難病に罹ったことがわかり入院です。難病で治療期間は長いですが、死に直結する病気ではなかったので一安心すると同時に、Mさんと2人で「もっと早く保険加入を説得しておくべきでしたね。忙しさにかまけるってこういう事ですね」と猛反省しました。
Kさんから「笑顔で仕事ができるようになるために、リハビリ頑張ってます」とメールをもらい安心した1ヶ月後、胃癌がみつかり、Kさんはあっという間に召されてしまいました。
最後の電話から約5ヶ月後のことでした。
残された私たちが思う事
一般の会社員に比べれば、Kさんはやりたいことをして過ごしていました。しかし、本当にKさんは自分の人生に満足していたのか?あの仕事が大好きなKさんですから、お客様1人1人の顔を浮かべながら、お客様の会社の状況を考えながら、早く面談したいと思っていたと思います。そして、Mさんに任せるつもりだった会社のことも心残りだったことでしょう。あれだけ会社の未来を楽しそうに語っていましたから。
なにより、こんなに早く愛する奥様を1人にすることは想定外だったと思いますし、最後は息子さんと腹の割ったお話ができたのか気にもなります。
結果として、Kさんは健康と時間を気にかけることを怠ってしまいました。Kさんを責めるわけではありません。誰にでも起こりうることです。
私も含めてみんな、お金の事にだけに意識をむけがちです。人間は100%死にます。それなのに普段は「死」から意識を遠ざけようとしています。まるで、自分には関係ないかのように。確かに確率からいけば、年老いた人から亡くなります。次は重い病気に罹った人でしょうか。元気に日々を過ごしている限り、「死」を意識することはあっりませんよね。病気すら考えないんですから。
しかし、この本では「死」を意識して生きろ。と書かれています。
「死」を意識すると、人生の有限に気づいて自分の人生を有意義に過ごそうと考えるからです。
明日、余命宣告を受けても心残りのない人生にするための手引き書とでもいえます。読むたびに著者の伝えたいことの深さを感じますし、1人でも多くの人に考えて欲しい内容です。
このブログを書きながら、ある事を思い出しました。それは次回書きたいと思います。
今日3月5日は私の親友であり妹のような存在であるJoannの誕生日です♪来年は一緒に台湾で祝おう!早速、バケットリストに追加します。
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